料理を作ればサラリーマンのうつ病は治せる!

2017年に定年退職した元サラリーマンが、自分のうつ病体験を元に「うつ病から自力で回復するためのリハビリテーション方法=料理を作ること!」について、思った事・できた事をあれこれ語ります。

料理を作ればサラリーマンのうつ病は治せる! 【不定期連載 第1回:はじめに】

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  このブログは、はてなの「健康」「生活」「料理」グループに登録していますが、各グループ(特に「健康」)内の方々のブログを拝見すると、うつ病の方がけっこう多いようですね。ストレスだらけの世の中、皆さん本当にお疲れさまです。

「死にたい」って思っている方、 おられると思います。

 今があまりにも苦しくて、「いっそ死んでしまえば、楽になるだろうな」と思う気持ちは、私も経験があるだけに、とても良く分かります。

でも本当に死んでしまうのは絶対にやめましょう。だって、悔しいじゃないですか!

    あなたをそこまで追い詰めた「あいつ」は、今ものうのうとしているし、あなたが死んでも恐らく何の責任感も罪の意識も感じません。今後も平然と、自分勝手で理不尽な屁理屈を押し通し、あなたという人の存在を切り捨てて、第二第三の被害者を作り続けるのです。

  あなたが再び「あいつ」と対峙することは絶対に無理だしありえないとしても、被害を受けたまま回復せずに自死したのでは、「あいつ」の、あのとんでもない考えや態度を、結果として「正論」と受け止め、認めることになってしまいます。本当の正義は、こちらにあるはずでしょう? 死んでも死に切れません。

生きて、あなたが正しかったことを、いつかきっと証明しましょう。

だから死んではいけません。頑張らなくてもいい。ただ生きていれば、いずれ復活のチャンスと場面は必ずやって来ます。

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   今日、失業率は改善し景気は良くなって来ているようですが、実感として労働者の環境は決して好転していません。企業ではリストラは日常茶飯事のように行われ、長時間労働サービス残業コンプライアンス違反(ブラック企業)、パワハラ、セクハラは後を絶たず、いじめやいびり、自社と取引先との板挟み、更には仕事と家庭/家族との板挟み・・・ストレス要因に包囲された現代は、本当に生きづらい時代であり、そんな職場環境が原因でうつ病に罹患する労働者(広義のサラリーマン)が後を絶ちません。

 

 うつ病に関する書物の多くには、「病気のさなかにあっては、転職などの人生の重要な決断をしてはならない」という意味のことが書かれています。

 しかし、私は自分の体験から、発症の原因が自分を取り巻く環境のストレスにあり、その環境が改善される見通しが立たないなら、症状が重篤化し自殺衝動などの身の危険が起きる前に、一日も早くストレス環境からの緊急避難(=身を守るための退職・転職その他)をするべきだと考えています。

 

 うつ病になると、自分のことを「失敗ばかりで何もできない、何の能力もない無能で無価値な人間」と思うようになります。すべての自信が崩壊し、物事を進めるプロセスが脳の中でバラバラになり思考が停止した結果、何もやる気が起きなくなり、生きる気力自体が失われてしまいます。

 そんな時は良くなるまで仕事を休むか辞めるしかないと思うのですが、そもそもうつになる人は、人一倍責任感の強い人ですから、「会社の同僚や取引先に迷惑をかけられない」と考え、無理して出勤し仕事を続けます。

 しかし、うつの只中にいる場合、「何をどんな順番で進めたら良いのか」を組み立てる能力が大幅に減少します。「とりあえず」と簡単な作業から取り組んでも、手慣れた作業ですら、どこかで手順を抜かしてしまい、気が付かない間にミスを起こしてしまいます。そしてそのミスは、正常な時なら自分で容易に発見できたのに、周囲からの指摘があってやっと気づくのです。

 そして「自分はこんなこともできないのか」「こんな簡単なことにも気づかなくなったのか」(=能力が落ちたのか)と失望し、自らを叱責し、自分の「無能力意識」を更に高め、終わりのない堂々巡りに陥って行きます。

 

 そうした時は、まず危険な状態から離れて身を守り、心を静め平穏を取り戻すことが先決です。そして充分に休養を取った後、一歩ずつ確かめながら、自分のペースで社会復帰してゆくことが必要です。

 何を隠そう私も、もう12年間、病気と付き合っています。若いころは「まさか自分が」と思っていましたが、48歳の時、初めて医師から「決して軽くない」との診断があり、指示を受けて一週間ほど休職をしてみました。しかし、原因が職場の環境にあり、復職しても環境が変わらなければ治らないことが明白になったので、自分の意思で会社を辞めました。

 その後の人生は、心のキズ(=ケガ)を抱えたまま二度の転職や離婚・再婚など、良くあるありふれた人生の波乱万丈のドラマに見舞われ、その都度重くなったり軽くなったり、つかず離れず病気と付き合ってきました。

 

 現在は定年退職し自宅に引きこもっているため、ストレスもなく落ち着いていますが、つい昨年まで、会社に出勤する前には、精神安定のための「儀式」を一通りやらないと家を出ることができない状況でした。

 でも最もひどかった頃に比べれば、いくばくかの自信を取り戻し、弱気な自分を押し込めて、何とか60歳まで勤め上げることができました。最近は「人生100年」などという無責任な言葉もありますが、正直、やっとの思いでこぎつけた感は否めず、しばらくの間は休養を取ろうと思っています。

 

 自分が現在のようにうつで混乱した気持ちを整理し、症状を軽減できたのは、再婚した妻とその家族のおかげも大きいのですが、もう一つ、自分自身の活動として、

「自炊した(料理を作った)こと」が大きなリハビリ方法となりました。

 今後、このブログで考え方や進め方をお話しして行きたいと思います。

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  但し、あいにく私は医師ではありませんから、医学の知識や理論に基づいて「こうあるべし」と主張する根拠は持ち合わせていません。更に、私は料理研究家でもありませんし、調理師や栄養士の免許を取得したわけでもありませんので、「こういうものを食べればうつ病が回復する」などと主張することもできません。

 作ってきたものは、あくまでも自分と家族の毎日の食事の惣菜であり、家庭料理です。しかし、自分がうつ症状から回復する過程で、「料理を作り自炊すること」がリハビリテーションの大きな手法になったことは、間違いありません。

 

 最も身近な毎日の食事において、自分の食欲に応じて、食べたいと思うものを自分で作ることによって、自分の意志と自分のペースで、現実の自分と向き合うことができた結果、壊れた感情や感覚を少しずつ蘇らせることにつながったと思っています。

 また「今の自分に合うものを作れた」「おいしいものを作ることができた」という、

本当に小さな、でも確かな「成功体験」を積み重ね、つなぎ合わせることで、少しずつ自分自身の感情を落ち着かせ、足を地に付け、自己肯定の感情を取り戻すことができました。

  これからご紹介して行くことが、すべてのうつ病患者の方に有効であると断言する自信はありません。そもそも「毎日食事の用意をしている主婦はどうするんだ」というご指摘もあろうかと思います。

 しかし、私にとってはこの方法が有効だったことは間違いありませんし、料理を始めて10年、食事を作ることは、まぎれもなく現在の自分自身を構成する要素の一つとなっています。

 

 このブログでの体験談が、現在うつと戦っている一人でも多くの方の参考になれば幸いです。