料理を作ればサラリーマンのうつ病は治せる!

2017年に定年退職した元サラリーマンが、自分のうつ病体験を元に「うつ病から自力で回復するためのリハビリテーション方法=料理を作ること!」について、思った事・できた事をあれこれ語ります。

料理を作ればサラリーマンのうつ病は治せる! 【不定期連載 第6回:何を作るのか】

 料理を作るといっても、今までまったくしたことがない方にとっては、何をどうしたら良いのか、まるで分からないかも知れませんね。

 

 でも心配は無用です。前の回でも書きましたが、自宅で料理をするということは、誰にも迷惑を掛けませんし、作り方によっては、家族への影響も最小限に抑えることができます。自分が食べる分だけを、準備から調理・試食・後片付けまですべて自己責任でやればよいのです。(やってもらうのでは意味がありません)

「責任を取る」といっても、誰かのやったことの責任を押し付けられるような、理不尽なことは一切ありません。リスクの中身はあらかじめ想像できることですし、要するに失敗しても自分で食べればよいだけの話です。

 料理を作ることは極めて敷居の低いものですから、誰でも自分のレベルに合わせて練習を始めることができます。

 

 さて、最もシンプルな料理とは何でしょう?・・・それはカップラーメンです。

「え?そんなの料理じゃないよ」「お湯を注ぐだけじゃないか」と思われますか? 違います。

 たかがカップラーメンと言えども、工夫する余地は十分あり、自分だけのやりかたを追及することができるのです。

 例えば、お湯の分量。カップの内側の線まで、指定の量を守って入れていますか?私は違います。私は薄味が好きなので、お湯はカップに並々と入れます。

 何分待ちますか? 3分とか5分とか、指定の時間数ですか?私は違います。だいたい指定の倍近い時間、3分ものなら5~6分、5分ものなら7~8分は待ちます。そうすると麺がしっかり水気を吸って戻ってくれますので、インスタント感が限りなく少なくなり、銘柄による麺の違いを確かめることもできます。

 

 さらに、トッピングを何か入れることを考えてみましょう。一番手っ取り早いのは長ネギですね。もちろんスープや「かやく」の中にも乾燥ネギが入っていますが、やはり生の長ネギとは味も香りも全く違い、味が豊かになり、栄養も段違いになります。

カップ焼きそばであれば、キャベツを追加するのもいいですよね。そのキャベツはちぎる程度なのか、ざく切りなのか、それとも千切りがいいのか。ここでも待ち時間の多少によって、麺の食感は大きく変わります。

 カップ麺だけでは量が足りない場合はどうしましょう? ご飯を追加して、いわゆる「ラーメン・ライス」にしますか? それともお餅でも付けますか? そのお餅は、別に焼きますか?それともカップに入れて熱湯を注いで、一緒に柔らかくする手もありますよね。これも、自分に合うやり方を探してみてはどうでしょう。

 

 以上のように「お湯を入れるだけ」のカップ麺でも、工夫次第で自分の好みの「食事」に近づけて行くことができます。自分の好みを探求すること、それは自分自身と向き合うことに他なりません。自分は何が好きで、どんなやり方が自分にとって最適なのか、アイデンティティの確認作業のスタートです。

 カップラーメンで一定のこだわりを確認したら、それが他のメニューでも生きるのか、ステップアップして確認を続けましょう。

 これでいきなり普通のメニューにチャレンジするのはまだ・・と思う方、次は袋物のインスタントラーメンにチャレンジしてみてはいかがでしょう。

 

 「おい、またラーメンかよ」と思われるかもしれません。もちろん、何も付け加えない作り方なら、カップがどんぶりになっただけで、大きな違いはありません。(それでもゆでる水の量、火の強さ、ゆで時間、スープを入れるタイミングによっても味は大きく変わり、自分の個性を出すことはできます)

 

 しかし、カップ麺と袋物のインスタントラーメンとは、工夫できる部分の幅というか次元が、まるで違います。その後にチャレンジする様々な料理のシミュレーション(基礎練習)と考えれば、やるべきことはたくさんあるのです。

 インスタントラーメンは「乾麺を茹でてスープを入れるだけ」で食べられるものであり、味付けも、メーカーで絶妙にブレンドされたスープが付いていますから、失敗の可能性が極めて少ない点で、初心者の料理の練習には最適の食材だといえます。

 そして、「乾麺を茹でる」という工程は、そば・うどん・パスタなど、その他の麺料理の練習になります。自動車の免許を取るときに、いきなり路上に出るのではなく、慣れるまで所内で教習を行うようなものですね。

 

 そしてカップ麺の時より数段、工夫の余地があります。それは、肉や野菜をトッピングするということです。例えば肉と野菜を炒めてラーメンにのせることで、「もやしソバ」、「広東麺」「五目ソバ」といった方向に指向性を変え、品質を高めて行くことが可能です。

 塩分やカロリーが心配なら、肉と野菜を麺と一緒に茹でて「タンメン」風にするのもありでしょう。

 

 まず、出来上がりをどんな風にするかのコンセプトによって、醤油か塩か味噌か豚骨か、味を選ぶこと、それが計画の第一歩です。

 次に、なるべく「それ風」にするためにはどうするかを考え、必要な具材を取りそろえます。肉は豚か鶏かはたまた海鮮か、バラ肉か細切れか挽肉か、野菜はキャベツか白菜か、ネギ・ほうれん草、または青梗菜でもいいですね。味噌ラーメンにはコーンやバターも必要かも知れないし、カマボコやナルトも欲しくなるかも知れません。いろいろな工夫により、バリエーションはいくらでも広がってゆきます。

 始めのうちは、キャベツや人参を入れるくらいからスタートしてみましょう。野菜の風味がスープに溶けて、甘みとコクが出ますので、それを味わってください。

 

 今まで仕事一辺倒で、悩みが頭を離れなくて、食事の中で小さな味の違いを感じる余裕もなかったのではありませんか? 自分の味覚と向き合うことで、だんだん気づくことがあるはずです。

 そしてやがて、「小さなことに気づく自分」に気づく時が来ます。その感覚を周囲の味方になってくれる人に伝えて確かめ、共有することで、自分の感覚の正しさ・正常さが認識でき、少しづつ自信が戻って来るのを、根気よく待ちましょう。

 料理を作ることは、そのための練習の方法と言えるのです。

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 今回私が昼食に作ったのは、サッポロ一番塩ラーメンです。

 冷凍庫に残っていた豚肉、白菜、人参、シイタケ、ほうれん草、缶詰のコーンを、麺とは別の鍋で煮込み、その湯でスープを溶かします。麺は約4分茹で(メーカー推奨は3分半)、湯切りをあまりしないで(小麦粉の香りを残すため)スープに浮かべます。麺を入れた後、スープ鍋に残しておいた肉野菜を上に並べ、更に長ネギ、メンマ、チャーシュー、最後に焼きのりをトッピングしました。

 

 自画自賛で恐縮ですが、元はインスタントラーメンだけれど、これはこれで立派なオリジナリティのある料理になったと思っています。(自己満足でいいんです。おいしいんですから)

 まずはこのパターンで練習を重ね、やがて生めんへ移行し、最終的にはスープやチャーシューづくりに挑戦することを目指すのもいいですね。

 

 ただ「乾麺を茹でてスープを溶かすだけ」のインスタントラーメンとは、次元の違う味になりました。これができたら、「(料理を)作る人」への第一歩を踏み出したと言えると思います。

 

 ではまた。